保健室の扉側から見て左奥側にベッドが二つ並ぶ。
窓際のベッドは既に先客がいるようでカーテンが閉ざされていた。
いま使えるのは隣のベッドのみ。
記録表に記載されていた一つ前の名前は★マークだったから、もしかしてこのカーテンの向こう側に横になってる人が★さんかもしれない。
奥のベッドの下に目線を下ろすと、床には自分と同学年を示すイエローカラーが入った薄汚れている上履きが揃えて置かれていた。
明らかにメンズサイズ。
つま先部分には本来記載しなければならないはずの名前の代わりに★マークが書いてある。
あれ、やっぱり予想は当たってるのかもしれない。
先生が内緒のポーズをしたのは、今そこのベッドに★さんが眠っているから本人に聞こえないよう気を使って言ったのかな。
でも、★さんが同学年なら知り合いの可能性もある。
校則が厳しいのに名前を書かないなんて勇気があるな。
入学時には持ち物の紛失を防ぐ為に、全ての荷物に名前を書くように言われたのに。
まだ★マークの人が同学年という情報しか入手してないけれど、その時はカーテンの向こう側にいる人物に不思議と親近感が湧いた。
でも、どうして★マーク?
名字が星かな?
想像力を膨らませながら空いてるベッドに上がり、壁側にまとめられているカーテンを引いてベッドを囲むようにグルリと閉じた。