カーテン越しの君



セイくん。
会いたい。
もう一ヶ月ほど会ってないね。

きっと仕事が忙しいんだね。
だから保健室で会えないのかもね。


セイくん。
星型の飴を食べないと声が出ないかもしれないよ。
でも、私からの飴なんて必要ないかな。
セイくんはあの飴を気に入ってたのに、ここ最近は渡せてないね。


私はセイくんと会える場所が保健室(ここ)しかないから、じっと待つことしか出来ない。
会いたくて仕方ないから、バカみたいに無意味に通っているよ。
本当は授業を受けなきゃいけないのにね。



セイくんに会えない時間は。

ほんとに……、
ほんとに、ほんとに寂しいんだよ。


切実に会いたいと願っても。
セイくんは芸能人だし、仕事が忙しいからって割り切るしかなくて。

それでも納得出来ずに、ただ切なくて苦しくてもどかしい時間ばかりが無情にも過ぎて行く。



声が聞きたい。
今すぐセイくんの声が聴きたいよ。

セイくんが今どこで何してるのかとか、小さな事が気になって仕方がないんだよ。
顔すら知らない相手に、恋をしてるだなんてどうかしてる。

ここが、芸能人と一般人の境界線なのかな……。