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「福嶋さ〜ん、体調はどう?」



養護教諭の呼びかけと共にカーテンが開き、その一声で目が覚めた。



「あ、はい。大丈夫です」



ゆっくり身体を起こして右手の甲で目を擦り、もう一方側のベッド方向に目を向けた。
すると、先ほどまで閉ざされていたカーテンは開かれている。
布団は綺麗に敷き直されていて、そこに彼の姿はない。

きっと、私が眠っている間に教室へ戻って行ったのだろう。


もぬけの殻のベッドを見た瞬間、先ほどの出来事が夢だったのではないかという錯覚に陥った。


結局、彼に関する情報は上履きの★マーク以外は謎めいたまま。
印象的な声だけが脳裏に焼き付いている。
記録表に普通に名前を書いてくれれば気も留めなかったのに。

頭の中は疑問と想像力が湧き立つ一方。
カーテンの奥に塞ぎ込んでいた彼独特の世界は、まるで異空間のように感じた。