* * * * *
「珠子から目を離すなって言っただろ、このバカ!」
「女子トイレにまで着いていくわけにはいかないでしょ!?」
珠子がいないことに気が付いた双子が、学校の廊下で言い争っている。
「兄さんもなんで予見できないんだよ!」
「寝てたんだから仕方がなっ……」
幸夜に言い返そうとした咲仁が咳き込み、マスク越しに口元を押さえる。
言い募っていた言葉を引っ込め、幸夜は咲仁の背中を撫でる。
「もしかして、怪我してる?」
「いや……今朝のは黒鷲アエトスが偵察に来ていただけだった。戦闘にはなってない」
咳が収まり幸夜に答えるが、咲仁は顔をしかめて右脇を押さえている。
「あ〜、なるほど。それは古傷トラウマが開くねぇ」
苦笑する幸夜を咲仁は睨みつける。
「そんなことより、珠子だろ」
「見えないの?」
奇妙な会話をする二人に、すれ違った生徒が不思議そうな顔をしている。
「見えてる、が……不確定要素が多すぎて収束しない。今、どこにいるのか推測できてない」
咲仁の言葉に、渋い顔をする幸夜。
「花ちゃんと榴にも連絡するね」
「そうししてくれ」
スマートフォンを取り出す幸夜に、周囲を気にしながら耳打ちをする咲仁。
「キマイラに襲われる。最悪――珠子は死ぬ」
「珠子から目を離すなって言っただろ、このバカ!」
「女子トイレにまで着いていくわけにはいかないでしょ!?」
珠子がいないことに気が付いた双子が、学校の廊下で言い争っている。
「兄さんもなんで予見できないんだよ!」
「寝てたんだから仕方がなっ……」
幸夜に言い返そうとした咲仁が咳き込み、マスク越しに口元を押さえる。
言い募っていた言葉を引っ込め、幸夜は咲仁の背中を撫でる。
「もしかして、怪我してる?」
「いや……今朝のは黒鷲アエトスが偵察に来ていただけだった。戦闘にはなってない」
咳が収まり幸夜に答えるが、咲仁は顔をしかめて右脇を押さえている。
「あ〜、なるほど。それは古傷トラウマが開くねぇ」
苦笑する幸夜を咲仁は睨みつける。
「そんなことより、珠子だろ」
「見えないの?」
奇妙な会話をする二人に、すれ違った生徒が不思議そうな顔をしている。
「見えてる、が……不確定要素が多すぎて収束しない。今、どこにいるのか推測できてない」
咲仁の言葉に、渋い顔をする幸夜。
「花ちゃんと榴にも連絡するね」
「そうししてくれ」
スマートフォンを取り出す幸夜に、周囲を気にしながら耳打ちをする咲仁。
「キマイラに襲われる。最悪――珠子は死ぬ」