大通りから一本入ったところは住宅が広がっている。
少し歩いてお目当ての小さな公園に到着した。
周囲は戸建てやアパートがあって、この公園には小さな遊具と砂場、そしてそこで遊ぶ子供を見守るためにかベンチがいくつかある。
私達は誰もいない公園を少し入り、木のベンチを見つけるとそこに二人で並んで座る。
何だか疲れ切っている彼を見かねて、私は自分用に買ってきた飲み物を袋から出すと差し出した。
彼は嬉しそうにありがとうと言って、ペットボトルの蓋を開けようと手を掛けた。
それを横目で見ながら、私はスマートフォンで彼の名前を検索する。
有名な人を知らないというのは流石に失礼だし、彼も思いのほか落ち込んでいるのを見ると申し訳ない。
聞いた彼の名前を検索窓に打ち込む。
だがそこの一番上に出てきた文字は、
『ドラマでブレイクした鹿島渉、突然の死』。
私は初めて自分の血の気が引く音を聞いた。
検索画面をスクロールしていけば、
『人気女優の相手役として若手俳優起用、彼の演技に魅了される女性が、今期視聴率第一位の大人気ドラマに、横断歩道を渡っている途中居眠り運転の車に、意識不明の重体、早すぎる死、多くのファンに惜しまれお別れ会が』などという記事が続々と出てきて手が止まる。
その事故死したという事故の場所はさっきの道路にある交差点、そして亡くなったのは五年前の今日だった。
今になって気付く。
彼がうずくまっていたすぐ側のガードレールに、花束がいくつも立てかけられてあったことを。
何故あの時、それが単なる風景の一つとしてしか認識せずに違和感を抱かなかったのかわからない。
「どう、信じてくれた?」
私が自分の事を検索しているとわかっていたのか先ほどの青白かった顔は消え、意気揚々私に話しかけてくる。
自分がどれだけ有名な芸能人かわかったのかを期待しているようだ。
だが実際は。
『しまった。
やはりこの人、幽霊だったのか』
今までの経験で関わってはいけないと思っていたのに、ここまで人間と見間違える幽霊は子供の頃以来初めてだ。
おそらくそれだけこの世に強い心残りがあるからなのだろう。
まずは彼が既に死んだと認識しなければ、彼はこの世界に捕らわれたままになる。
ようは成仏出来ずにずっとこの世を彷徨い続けるだけ。
酷なことだとわかっていても事実を伝えるしか無い、彼のことを思うのならば。
「ところでさ、このジュース何でか飲めないんだけど」
「鹿島さん、ご自分の状況、理解していますか?」
きょとんとした顔に私は意を決し、現実を伝えるためにスマートフォンの記事を彼に見せる。
「貴方は五年前の今日、既に亡くなっているんですよ」
少し歩いてお目当ての小さな公園に到着した。
周囲は戸建てやアパートがあって、この公園には小さな遊具と砂場、そしてそこで遊ぶ子供を見守るためにかベンチがいくつかある。
私達は誰もいない公園を少し入り、木のベンチを見つけるとそこに二人で並んで座る。
何だか疲れ切っている彼を見かねて、私は自分用に買ってきた飲み物を袋から出すと差し出した。
彼は嬉しそうにありがとうと言って、ペットボトルの蓋を開けようと手を掛けた。
それを横目で見ながら、私はスマートフォンで彼の名前を検索する。
有名な人を知らないというのは流石に失礼だし、彼も思いのほか落ち込んでいるのを見ると申し訳ない。
聞いた彼の名前を検索窓に打ち込む。
だがそこの一番上に出てきた文字は、
『ドラマでブレイクした鹿島渉、突然の死』。
私は初めて自分の血の気が引く音を聞いた。
検索画面をスクロールしていけば、
『人気女優の相手役として若手俳優起用、彼の演技に魅了される女性が、今期視聴率第一位の大人気ドラマに、横断歩道を渡っている途中居眠り運転の車に、意識不明の重体、早すぎる死、多くのファンに惜しまれお別れ会が』などという記事が続々と出てきて手が止まる。
その事故死したという事故の場所はさっきの道路にある交差点、そして亡くなったのは五年前の今日だった。
今になって気付く。
彼がうずくまっていたすぐ側のガードレールに、花束がいくつも立てかけられてあったことを。
何故あの時、それが単なる風景の一つとしてしか認識せずに違和感を抱かなかったのかわからない。
「どう、信じてくれた?」
私が自分の事を検索しているとわかっていたのか先ほどの青白かった顔は消え、意気揚々私に話しかけてくる。
自分がどれだけ有名な芸能人かわかったのかを期待しているようだ。
だが実際は。
『しまった。
やはりこの人、幽霊だったのか』
今までの経験で関わってはいけないと思っていたのに、ここまで人間と見間違える幽霊は子供の頃以来初めてだ。
おそらくそれだけこの世に強い心残りがあるからなのだろう。
まずは彼が既に死んだと認識しなければ、彼はこの世界に捕らわれたままになる。
ようは成仏出来ずにずっとこの世を彷徨い続けるだけ。
酷なことだとわかっていても事実を伝えるしか無い、彼のことを思うのならば。
「ところでさ、このジュース何でか飲めないんだけど」
「鹿島さん、ご自分の状況、理解していますか?」
きょとんとした顔に私は意を決し、現実を伝えるためにスマートフォンの記事を彼に見せる。
「貴方は五年前の今日、既に亡くなっているんですよ」