歩きやすいようにスニーカーを履いて外に出てきたはいいが、未だに告白の言葉が決まらない。



　想太は自分の気持ちを伝えればいいと言っていたが、それが僕にとっては一番難しく感じる。何を伝えれば彼女が喜んでくれるのか、恋を避けてきた僕にはハードルが高すぎる...



　思いつかないまま公園までの道のりを一人で歩く。いつも必ず僕の隣には、想太や一花そして、みきちゃんがいた。



　こうして一人で歩いていると、みんなのいる日常が当たり前ではないのだと寂しくも実感できる。周りには誰もいない閑静な住宅街。時々すれ違う顔見知りの方々に挨拶をしながら、一歩一歩彼女のいるところへと足を進める。



　イヤホンをつけようと思いポケットに手を入れるが、ジャケットを違うのに変えてしまったため家に置いてきてしまった。



「あー、最悪だ・・・」



　公園まではあと数分で着くが、思ってよりも時間があるので近くにあったベンチに腰掛け、携帯を取り出しメールを開く。



　やはり僕は彼女に直接言葉で思いを伝えるのは情けないが無理そうなので、メールで想いを告げることにする。



　想太も言っていた通り、メールだといつまでも残り続けるので、個人的には残り続ける方が僕も好きかもしれない。彼女はもしかしたら怒るかもしれないが、その時はその時だろう。



　きっと僕の本気の想いをこのメールに詰め込めば、彼女も納得してくれるはず...



「よし・・・できた。あ、ついでに前言いそびれたこれも・・・」



　考えて考えた結果、そこまで長くはないのに十分ほど時間をかけてしまった。



　誤字脱字がないか入念に確認を終え、ベンチから立ち上がる。電線の上には、二匹のカラスが首を傾げながら僕を見下している。



　一羽が飛んでいく。そしてまた一羽、空を飛びながら鳴くカラスの鳴き声はまるで僕を朝笑っているかのように聞こえた。