時々こうやって一年を過ごしていると思うことがある。季節は毎年必ず嫌でも巡ってくる。例え、嫌いな季節でも。



 言わば、同じことを繰り返しているとも言える。それは人間も同じなのだろうか。



 人間も死んだら生まれ変わるのか、それとも生まれ変わらないのか。最近はこのことばかり考えている気がする。



 今の生活に不満があるわけではないが、もし生まれ変わることができるのなら今度は心臓が弱くなく、普通の子と同じような生活をしてみたいと思うのは仕方がないことなのかもしれない。



「みきちゃんはさ、人の生まれ変わりってあると思う?」



 途端に彼女はどんな考えなのか無性に聞いてみたくなった。天才の答えというものを。



「急だね。そうだなー、私はあると思うよ!」



「どうしてそう思うの?」



 まさか彼女が生まれ変わりを信じているとは思わなく、少したじろいでしまう。



「んー、だって人って昔からずっと途絶えることなく子孫を繁栄しているでしょ?なら、亡くなったら記憶をリセットされて、もう一度新たな人生ってのもあるんじゃないの?この瞬間にも輪廻転生している人もいるかもね」



「僕もそう思うよ。でもさ、大切な人と過ごした記憶がなくなるのってなんだか寂しいよね。できればずっと覚えていたいな」



 世の中には前世の記憶がある人もごく稀に存在するらしい。しかし、それはあくまで小さい頃の話で歳をとっていくたび、徐々に記憶は薄れていくと言われている。必ずしもいい記憶だけとは限らないが。



 中には戦争の記憶を持ったままの人もいるらしい。それはかなり辛いに違いない。仲間が死んでいく姿を思い出してしまうなんて、あまりにも残酷でしかない。



「私はリセットされてもいいかな」



「いいの?大切な人たちの記憶がなくなるんだよ?」



「うん。だってさ、自分の記憶は無くなってしまうかもしれないけれど、自分がここに存在していたっていう記憶はいつまでも記録として残り続けるし、子孫が途絶えない限りそれが揺らぐことはないでしょ?何かに記されるかもだし。ま、私は生まれ変わっても忘れることはないけどね!天才だから!」



「さすが天才だー」



「何その棒読み感は!」



 楽しそうに笑う彼女を見ると心が穏やかになっていくのが分かる。これからもこんな何気ない日常がずっと続いていけばいいなと心の中で願う。