「ごめんごめん、遅くなった!」



 想太がついたのは待ち合わせ時間の五分後だった。どうやら走ってきたらしく額からは汗が流れていた。



 一体どこから走ってきたのだろうかと気になったが、あえて聞かないことにした。僕の醜い嫉妬心を出したくはなかったから。



「いいよ、そこまで待っていないから。とりあえずどこかお店に入ろう」



「そうだな。静かな喫茶店とかにするか」



「喫茶店でいいの?」



「おう、どうした?嫌なら別なところにするけど」



「いや、想太ならもっと賑やかな場所にするかと・・・」



「親友の恋愛相談だぞ! 静かな場所に限る!」



 まさか、想太の口からそんな言葉が出てくるとは思わず、感心してしまう。前までの想太なら、気にせず自分が行きたい場所にしていたのに...親友として彼の成長が嬉しく感じる。



 想太と駅前の道を歩きながら雰囲気の良さそうな喫茶店に入り、オレンジジュースとカフェオレを頼む。僕は心臓が弱いので、カフェインは控えないといけないためコーヒーやエナジードリンク類は飲むことができない。



 想太とこうして向かい合って真剣な話をするのはこれが初めてかもしれない。



 滅多にないシチュエーションに緊張してしまいそう。相手は想太なのに...



「それで、何を聞きたいんだい。海くん!」



 待ってましたと言わんばかりの表情の想太。頼もしい反面、本当に大丈夫かという不安な面も見えてくる。



「実は今日告白しようと思うんだ。今朝そう告げてきた」



「おぉ、随分急だな。ところで朝わざわざそのことを告げに会いに行ったのか?」



 昨日や今朝のことを全て話すのは恥ずかしすぎる上に、彼女も絶対に嫌がると思ったので、少し内容を省いて想太に説明する。