「ところでさ、あれ? 布団なくない?」



 部屋の何処を探しても布団が見当たらない。あるのは僕のベッドだけ。



「あー、さっき海ママが来てね、布団壊れちゃったから今日だけはベッドで一緒に寝てって言ってたよ」



「え、それ本当に? ちょっと確かめに行ってもいい?」



「うーん、もう寝るって言ってたから寝てると思うよ?」



 "終わった..."僕の両親は一度寝てしまうと、朝まで絶対に目が覚めることはないので起こしに行っても無駄。つまり今日はみきちゃんと同じベッドで寝ないといけないということ。



「じゃ、じゃあ僕は床で寝るからみきちゃんはベッド使ってよ」



 床で寝るのは少々きつい気もするが、彼女と隣で寝るのに比べたらこれくらいは我慢できる。



「え、それは申し訳ないよ・・・私が床に・・・」



「それは絶対にダメ! 女の子を床に寝させるわけにはいかないよ!」



「で、でもそれじゃ海が・・・あ、そうだ! 背中向けて寝たらいいんじゃない?」



 結局同じベッドで寝ることにはなるけれど、それが最善だと思い彼女の案に同意する。ベッドに入り彼女と背中合わせで横になる。彼女が先ほどまでベッドに入っていたので少し温もりがあって温かい。



「起きてる?」



「起きてるよ」



「こうやって海と一緒に寝るのっていつ以来だっけ?久々すぎて忘れちゃった」



「んー、小学生以来じゃないかな?」



「懐かしいね。あの頃は抱き合って寝てたっけ? 今日もする?」



「し、しないよ!」



「なーんだ、じゃあ手を繋いで寝るのはダメ?」



 そんなふうに言われたら、断りにくいじゃないか...ずるい。



「いいよ、手繋ぐくらいなら」



 彼女の指と僕の指が絡み合っていく。そのまま恋人繋ぎになり、握りしめる。