帰りは少しだけ遠回りして帰ろうということになったので、普段あまり歩かない暗く染まった道を二人で歩く。



 普段歩いている道と比べると街灯の数が少ないので少しだけ薄気味悪い。



 帰りも約束通り僕のイヤホンを片方だけ彼女に手渡す。彼女がイヤホンを耳につけたのを確認し、来る途中に聞いてた音楽を再び再生する。先ほどの止まっていた時間が動き出したかのように流れていく。



 僕らの周りに歩いている人は誰もいない。近所迷惑にならないくらいの声量で、耳から流れてくる音源に声を重ねるかのように二人で歌い始める。



「あっははは! 相変わらず海、歌下手!」



「う、うるさいな!」



 余計なお世話だと思いつつもこの静かな夜を二人で歌うという状況を楽しんでいる自分がいる。



 何気ない日常のひと時。この幸せな時間がずっと続いてほしいと願わずにはいられなかった。



 空を見上げると周囲が暗いせいか星が普段よりも数倍明るく見える気がする。



「ねぇ、前にさ死んだらどうなる? って話したことあったよね?」



「あったね、それがどうかした?」



「意外と星になったりするのかもね・・・そう考えた人って結構ロマンチストだね」



「だね。みんなを空から見守りつつ、自分はここにいるよって輝き続ける。ロマンがあるね」



 星を眺めていると、なぜだか僕の願いも叶いそうな気がする。流れ星は見えていないけれども。