「海ってさ、よくイヤホンで音楽聴いてるよね?今だけ片方のイヤホン貸してよ」
「え、うん。でもどうして?」
「二人で同じ曲聴きながら、暗い道歩くのってなんだかエモくない?」
僕にはそれの何が"エモい"のかわからない。僕も"エモい"と思うことはあるが、これには共感できなかった。
右耳用のイヤホンを彼女に渡し、もう片方のイヤホンを自分の耳につける。初めて体験する出来事に困惑しつつ、なぜか心臓が躍動する。
"これが俗に言う青春"というものなのかもしれない。
適当にプレイリストから曲をシャッフル再生で流す。二人の間に言葉はもちろんない。ただ音楽を通して心を通わせているのが、なんとも言えないくらい僕にとって心地のいいものだった。手が触れることはないけれど、耳と心はその瞬間繋がれていた。
二曲目に入りかけたところで公園に到着してしまう。ちょうどサビの部分だったので、あと少しだけ聞いていたかった。
「ずっと無言だったけど、なんか今のすごくいい時間だったな〜」
「僕も初めてしたけれど、共有できるのって楽しいね。帰りもしたいな」
「お!じゃあ、帰りもしようね」
音楽を共有することがこんなにも楽しく嬉しいことだとは思っても居なかったので、これを提案してくれたみきちゃんには感謝。
好きな人と共有しているから、楽しく感じるのかもしれないが...俗に言うなんちゃら効果ってやつなのだろう。
イヤホンを耳から取り外し、みきちゃんに貸したもう一つのイヤホンと一緒にケースにしまう。
「たまにはブランコでもしようか!」
ブランコの座る部分の汚れを手で払ってから座る。昔は地面に届くことがなかった両足が今では、ピッタリと地につく。それに"靴のサイズも大きくなったんだな"と普段気にしないようなことばかりが見えてきて途端に懐かしさが蘇ってくる。
隣では既にある程度の高さまで漕ぎ始めている彼女。僕も負けじと無理のない程度にブランコに重心をかける。フワッと浮き上がっていく両足。小さい頃は高くて怖かった景色が目の前に広がり始める。
小学生の時、大きく感じた公園が今ではとてもちっぽけな公園に見えてしまう。今ブランコから飛び降りたら、星が輝くあの空にまで飛んでいくことができる気がするけれど、現実はそう甘くはない。
それでもいつかはあの空を自由に散歩してみたいなと密かに思う。
「え、うん。でもどうして?」
「二人で同じ曲聴きながら、暗い道歩くのってなんだかエモくない?」
僕にはそれの何が"エモい"のかわからない。僕も"エモい"と思うことはあるが、これには共感できなかった。
右耳用のイヤホンを彼女に渡し、もう片方のイヤホンを自分の耳につける。初めて体験する出来事に困惑しつつ、なぜか心臓が躍動する。
"これが俗に言う青春"というものなのかもしれない。
適当にプレイリストから曲をシャッフル再生で流す。二人の間に言葉はもちろんない。ただ音楽を通して心を通わせているのが、なんとも言えないくらい僕にとって心地のいいものだった。手が触れることはないけれど、耳と心はその瞬間繋がれていた。
二曲目に入りかけたところで公園に到着してしまう。ちょうどサビの部分だったので、あと少しだけ聞いていたかった。
「ずっと無言だったけど、なんか今のすごくいい時間だったな〜」
「僕も初めてしたけれど、共有できるのって楽しいね。帰りもしたいな」
「お!じゃあ、帰りもしようね」
音楽を共有することがこんなにも楽しく嬉しいことだとは思っても居なかったので、これを提案してくれたみきちゃんには感謝。
好きな人と共有しているから、楽しく感じるのかもしれないが...俗に言うなんちゃら効果ってやつなのだろう。
イヤホンを耳から取り外し、みきちゃんに貸したもう一つのイヤホンと一緒にケースにしまう。
「たまにはブランコでもしようか!」
ブランコの座る部分の汚れを手で払ってから座る。昔は地面に届くことがなかった両足が今では、ピッタリと地につく。それに"靴のサイズも大きくなったんだな"と普段気にしないようなことばかりが見えてきて途端に懐かしさが蘇ってくる。
隣では既にある程度の高さまで漕ぎ始めている彼女。僕も負けじと無理のない程度にブランコに重心をかける。フワッと浮き上がっていく両足。小さい頃は高くて怖かった景色が目の前に広がり始める。
小学生の時、大きく感じた公園が今ではとてもちっぽけな公園に見えてしまう。今ブランコから飛び降りたら、星が輝くあの空にまで飛んでいくことができる気がするけれど、現実はそう甘くはない。
それでもいつかはあの空を自由に散歩してみたいなと密かに思う。