彼女たちを待っている間、想太と二人きりになる。あの公園でお花見をした以来のような気がする。



「なぁ、海。海はさ、希美のことどう思ってる?」



「どうって?大切な存在だよ。想太と一花と同じように」



 想太らしくない真剣な面持ちで話しかけてくるので腰が少し引けてしまう。



「本当に俺らと希美はお前にとって同じなのか?」



 想太が何を言っているのか僕には全然理解ができない。僕らはずっと四人で一緒に過ごしてきたのに...それなのにどうして彼はそんなことを言うのだろうか。



「想太の言っていることがよくわからないよ・・・」



「もっとわかりやすく言うよ。俺らに対する『好き』と希美に対する『好き』は海の中で違うんじゃないのか?英語で言うと、『like』と『love』みたいに。もしくは本当はその気持ちに気付いているはずなのに気付かないふりをしていないか?」



「そ、そんな僕がみきちゃんのことを好きだなんて・・・」



 想太に直接言われたことで、今まで感じたことがない気持ちが溢れかえってくる。それと同時に僕はみきちゃんのことが、好きなのかという得体の知れないモヤモヤした感情に襲われる。



 今、この場には僕の唯一の男の親友だけ。この機会を逃してしまえば僕はこの先、この話題を彼に相談することはないかもしれないと思い、口を開く。



「あ、あのさ。『好き』ってなんなのかな・・・?それが僕にはわからないんだ」



 好きになってはいけないと思っていた。でもそれは本当に正しいことなんだろうか?僕は彼女に幸せになってほしいとは思っているが、今までの僕の願いだとその隣にいるのは僕以外の誰か。



 今はそう言っていられるが、果たして僕はもし彼女が他の誰かと付き合ったり、結婚したら耐えられるのだろうか。



 環境がガラッと変わり、彼女とは気軽に会えなくなってしまう。果たしてそれでも僕は生きていけるのか。



「難しいな・・・。でもな、これだけは言える。『好きな人の笑顔はどんな薬よりも万能』だと俺は思うな。俺は大きな病気になったことがないからわからないけど、熱を出した時とかに一花が笑顔で看病してくれたら、俺はそれだけで気持ちが和らぐし落ち着くと思う。それほど、好きな人の笑顔は自分に力をくれると思うな。あまり海の求めてる答えとは違うかもだけど・・・」



 笑顔...僕は三人の笑顔が大好きだ。中でもみきちゃんの笑顔にはいつも目を惹かれている自分がいるのも確かだ。



 それにいつも心臓のことを考えると真っ先に彼女の顔が思い浮かんでくる。"まだ死にたくない。彼女といたい"それが僕の本来の気持ちだったのか。