「ねぇ海。どの委員会に入るか決めた?」



「んー、本が好きだから図書委員かな」



 運動ができない僕にとって本は唯一の友達と言っていいほど欠かせないものとなっていた。



 一週間に四冊も読むので、僕の生活において図書室は欠かせない。



 本来なら本屋で新品の本を買って家に置いておきたいが、まだ高校生だからお金がいくらあっても足りない。



 その点で図書室はお金がかからずに本を読むことができるので、図書委員は僕にピッタリすぎる。



 若者の紙媒体の本離れもあることから、図書室を利用する生徒の数は少ない。図書委員の業務の間に読書ができるなんて、僕にとっては最高すぎるのだ。



「なら、私も図書委員にする!」



「え、みきちゃん本好きだっけ?絶対学級委員だと思ってた」



 中学の頃も嫌々ながらも学級委員を任されていた彼女。彼女の周りにはいつも人が集まるほど人望が物凄く厚い。彼女のカリスマ性は天性のものなのかもしれない。



 気付かぬうちに人はみきちゃんに惹かれる。それが彼女という人物の最大限の強みなのだろう。



「やだよ、学級委員は。もう中学校で懲り懲りだよ。それにさ・・・と一緒がいいし」



「ん?なんか言った?」



「なんでもなーい」



 少しだけみきちゃんの頬がピンク色に染まっている気もするが、気のせいだろうか。