目に眩しい光が差し込んでくる。辺りを見回すと、そこは病院の広々とした僕だけの一室。



「か、海!!!」



 目を真っ赤に充血させながら、僕に抱きついてくる母さんの姿が目に映る。すごい力で抱きしめられて少しだけ体が痛い。こんな力で抱きしめられたのはいつぶりだろう。



 どうやら僕は一命を取り留めたらしい。意識を失う寸前に願ったのが叶ったのかもしれない。



 ベッドの隣にあるテーブルの上には僕の携帯とイヤホン、そしてみきちゃんへのプレゼントが新品の箱に入ったまま置いてある。携帯の画面を触れると時刻がパッと浮き上がってくる。



 十九時二十五分。僕が家を出てから、まだ六時間ほどしか時間は経過していないらしい。



「い、今先生を呼んでくるから少し待っててね」



 ハンカチで目を擦りながら先生を呼びに病室を出ていく母の後ろ姿は、小さく衰弱しているような気がした。きっと僕が目を覚ますか不安で仕方がなかったに違いない。



「ごめん・・・母さん。またあの時を思い出させてしまって・・・一人で不安な思いをして辛かったよね」



 目が覚めるか分からない息子の側に居続けた母の気持ちになって考えると、全部は理解できないがその不安さや心細さ、そして失ってしまうことへの恐怖が襲いかかってくる。



 そんな辛い思いを一人で孤独に何時間も抱えながら隣にいたんだと思うと涙が止まらなかった。



 カーテンの隙間から差し込む光に照らされながら、一人白を基調とした空間で啜り泣く。どうかもう少しだけ一人にさせてほしいと願いながら。