結局公園でその後もダラダラと話していたら、家を出てから既に一時間が経過していたらしい。これは流石にまずいのではと思い始め二人で公園を後にする。



 座っていたベンチにくっきりとお尻の跡がついていたのは、かなり恥ずかしかったが自分のものではないと知らないふりを貫き通した。



 制服の方も先ほどに比べたら少しは乾いたけれど、少し生乾きなのでちょっと気持ちが悪い。



 それに生乾き特有の匂いも少々不快。



 公園から学校は割とすぐだったので、昇降口で靴を履き替えそのまま教室ではなく遅刻届けを出しに職員室へ向かう。



「失礼します」



 職員室の扉を開けるとまだ授業中の時間帯だったらしく、授業をしていない先生たちの視線が一気にこちらに集まる。その中には担任の姿も。



「おー、珍しいな。松田と春川が遅刻なんて。次からは気をつけるんだぞ〜」



 担任の和田先生は優しいおじさん先生で担当教科は古典。もちろん先生や各教科の教師には僕の心臓のことを話しているので、体育の授業はいつも見学をさせてもらっている。



 それとは別に僕たちは普段学校で優等生という立ち位置なので、先生たちもなんの心配もいらないようだ。



 "あ、なんだ君ら二人か"とすぐに職務に戻ってしまう先生たち。



 特に、僕の隣にいる人の学校での影響が強すぎるのも一つの理由だが...



「ありがとうございます。和田先生、今日も一日よろしくお願いします」



 公園で話していた時とは違う声のトーンに若干誰かわからなくなってしまう。



 今のみきちゃんは完全に学校でみんなが憧れる優等生というキャラになりきっている様子。切り替わりの凄さにどこかついていけない自分がいる。



「おぉ頼もしいな。今日もよろしく頼む・・・あぁそうだ一つ、二人に相談があるのだがいいかな?」



「はい、なんでしょう」



 お手本のような言葉遣いに感心しつつ、僕も彼女も今から先生が言おうとしていることが、一体なんなのかは容易に想像がつく。きっとみきちゃんがやりたくないと言っていたあれに違いない。



「二人にはうちのクラスの学級委員をしてもらいたいのだが、考えてみてはくれんかね?」



 嫌な予想だけは的中してしまう。当然入試で一位と二位の僕たちにその話が来るのではと、薄々感じていたが先生から名指しで指名されるとまでは思っていなかった。せいぜいクラスの多数決かと思っていたので、内心ヒヤッとしてしまう。



 それも僕は人からの頼み事を断ることが苦手なので、本当にできないこと以外は嫌でも引き受けてしまうほど。図書委員をしたかったけど、先生から言われたら仕方ないと思い返事をしようとする。