「おっはよう! かーい!」
またいつもと同じような朝を迎えるが、今日は寝落ち通話をしていたので携帯からの声だとふと思い返す。
「早く起きないと遅刻しちゃうよー!」
眠っている僕の左側から声が聞こえてくる。眠気で働かない脳を使って考える。
普段僕は携帯を右隣に置いて寝ているので、左側から聞こえるなんてことは僕が寝返りを打たない限りあり得ないが、僕は滅多に寝返りを打たないので不思議に思う。
気になって脳が働き始めてきたのでゆっくりと瞼を開くと、そこには僕の顔を覗き込んでいるみきちゃんの顔。
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
早朝から途轍もない悲鳴が部屋中、いや家中に響き渡る。まさか今日までいるとは思わず、反射的に声を上げてしまい、彼女も僕の声で驚いてしまった。
「ど、どうしたの!」
僕らの声を聞いて母が下からものすごい音を立てながら、勢いよく僕の部屋に入ってくる。それにも若干ビクッとしてしまう。
「ご、ごめん。みきちゃんがいることに驚いちゃって・・・」
「私も海の声に驚いちゃって・・・」
小学生が悪いことをして親に怒られるかのように、しゅんとしてしまっている僕ら。
「全く朝から何してるんだか。海に何かあったのかと・・・あ、いや海がみきちゃんに変なことをしたのかと」
「す、するわけないだろ!母親がなんてこというんだよ」
僕の反応を見て笑っていた母だったが、本音は僕の身に何かがあったのではないかと思っていたはず。
だから言葉に詰まっていたのだが、あえて最後まで言わなかったのは母の僕に対する気遣いだろう。もし最後まで話していたら、きっとみきちゃんに僕の心臓のことがバレていたに違いない。
それだけはなんとしても避けたいと、僕は小さい頃から母には頼んでおいたので今回も大丈夫なはず。
「おばさん、ごめんなさい」
「いいのよ希美ちゃんなら。それより体の方はなんともない?何かされたら言ってね」
「はい、何かされたらすぐに言います!」
「もうこれ以上僕を揶揄わないでください・・・」
やはり僕はこの二人には敵わないのだろう。この先二人に仕返しできる日は今の所やってこなさそうだ。
昨日もだったがいい加減僕たちも高校生なので、そろそろ勝手に僕の部屋に入れないで欲しい。当然言葉にしても言い返されておしまいな気がするので心にしまっておくが...
「二人とも時間は大丈夫なの?」
「えっ・・・今何時!」
「んーとね、八時二十分だね。あら、あと少しでお店の開店時間だわ。準備しないと」
普段と変わらなぬ様子の母は、お店の準備をするために下へと降りていく。
傍らでは、血相を変えて顔を見合わせている者たちがいるのにもかかわらず。
聞き間違いだろうか。携帯の真っ黒な画面をタッチすると、八時二十分という時刻が白の文字で強調しているかのように表示される。あと十五分しか残されていない。
支度はすぐにできるが、どう頑張っても家から学校までは二十分はかかってしまうので遅刻なのに変わりはない。走ればギリギリ間に合うだろうけど、その前に僕の命が尽きてしまうはず。
またいつもと同じような朝を迎えるが、今日は寝落ち通話をしていたので携帯からの声だとふと思い返す。
「早く起きないと遅刻しちゃうよー!」
眠っている僕の左側から声が聞こえてくる。眠気で働かない脳を使って考える。
普段僕は携帯を右隣に置いて寝ているので、左側から聞こえるなんてことは僕が寝返りを打たない限りあり得ないが、僕は滅多に寝返りを打たないので不思議に思う。
気になって脳が働き始めてきたのでゆっくりと瞼を開くと、そこには僕の顔を覗き込んでいるみきちゃんの顔。
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
早朝から途轍もない悲鳴が部屋中、いや家中に響き渡る。まさか今日までいるとは思わず、反射的に声を上げてしまい、彼女も僕の声で驚いてしまった。
「ど、どうしたの!」
僕らの声を聞いて母が下からものすごい音を立てながら、勢いよく僕の部屋に入ってくる。それにも若干ビクッとしてしまう。
「ご、ごめん。みきちゃんがいることに驚いちゃって・・・」
「私も海の声に驚いちゃって・・・」
小学生が悪いことをして親に怒られるかのように、しゅんとしてしまっている僕ら。
「全く朝から何してるんだか。海に何かあったのかと・・・あ、いや海がみきちゃんに変なことをしたのかと」
「す、するわけないだろ!母親がなんてこというんだよ」
僕の反応を見て笑っていた母だったが、本音は僕の身に何かがあったのではないかと思っていたはず。
だから言葉に詰まっていたのだが、あえて最後まで言わなかったのは母の僕に対する気遣いだろう。もし最後まで話していたら、きっとみきちゃんに僕の心臓のことがバレていたに違いない。
それだけはなんとしても避けたいと、僕は小さい頃から母には頼んでおいたので今回も大丈夫なはず。
「おばさん、ごめんなさい」
「いいのよ希美ちゃんなら。それより体の方はなんともない?何かされたら言ってね」
「はい、何かされたらすぐに言います!」
「もうこれ以上僕を揶揄わないでください・・・」
やはり僕はこの二人には敵わないのだろう。この先二人に仕返しできる日は今の所やってこなさそうだ。
昨日もだったがいい加減僕たちも高校生なので、そろそろ勝手に僕の部屋に入れないで欲しい。当然言葉にしても言い返されておしまいな気がするので心にしまっておくが...
「二人とも時間は大丈夫なの?」
「えっ・・・今何時!」
「んーとね、八時二十分だね。あら、あと少しでお店の開店時間だわ。準備しないと」
普段と変わらなぬ様子の母は、お店の準備をするために下へと降りていく。
傍らでは、血相を変えて顔を見合わせている者たちがいるのにもかかわらず。
聞き間違いだろうか。携帯の真っ黒な画面をタッチすると、八時二十分という時刻が白の文字で強調しているかのように表示される。あと十五分しか残されていない。
支度はすぐにできるが、どう頑張っても家から学校までは二十分はかかってしまうので遅刻なのに変わりはない。走ればギリギリ間に合うだろうけど、その前に僕の命が尽きてしまうはず。