「いっちゃんは将来の夢決まってるの?」



「私はね、看護師かな」



「それはどうして?」



「んー、病院が嫌いだからかな?」



 その場にいたみんなの頭の上にクエスチョンマークが浮かんでいるように見えた。病院が嫌いなのに看護師になりたい?やはり僕の友人は意味がわからないくらい面白い。



「え、ごめん。全く意味がわからないよ」



「だよね。私も意味わからないと思う。でもね、病院ってさそんなイメージを持っている人たちが多いでしょ?死に近い場所とも言われているわけだし。だからさ、私は絶対に治してあげるとは言わない。その代わり病院を訪れる人、入院している人が少しでも心を落ち着かせることができるような話し相手?辛くて苦しくても共に痛みを分かち合える、そんな支えてあげられる看護師になりたいの。亡くなる時に『あぁ私の人生は最後まで幸せだった』って思ってもらえるような」



 16歳の考えにしては達観していて感心してしまう。一花がそんな想いを抱えながら夢を目指していたなんて思ってもいなかったので、目が潤ってきたのと同時にその夢を本気で応援したいと思った。



 きっと彼女ならそんな看護師になれると僕は確信しているが。



「いっちゃん!! すごいよ! 私本気でその夢応援するよ!必ずその夢実現させて多くの人を笑顔にしてあげて。寂しい思いをさせないように。絶対に孤独にさせないでね・・・私もさせ・・・」



 話しながら目から綺麗で美しい雫がみきちゃんの頬を伝う。



「泣かないでよ。なんか恥ずかしいじゃん。でも、ありがと! 海の夢はなんなの?」