公園からの帰り道、僕たちは足並みをそろえて帰路につく。四人の影が地面に長く長く伸びている。



 まるでもう一つの世界の僕たちも並んで歩いているようにさえ思えてくる。その影ももうすぐ闇に飲まれて消えてしまうだろうけれど...



「ねね、みんなはさ将来の夢ってあるの?」



「急にどうしたんだよ希美」



「んー、なんとなくあるのかな〜って思って。私たちも高校生になったわけだし、考えている人もいるわけでしょ?だからみんなはどう考えているのか気になってさ」



 確かに僕らは高校生になり将来のことを意識し始めてもいい年頃かもしれない。みんながどんな考えをしているのか僕も少し興味がある。



「想太は将来の夢は決まってるの?」



「俺?俺はね、医者かなやっぱり」



「まーそうだろうね。想太のお父さんはお医者さんだもんね。家を継ぐ感じなのかな?」



 想太のお父さんはここら辺で有名な病院の院長をしているため、想太は小さい頃からその跡を継ぐために家庭教師などの英才教育を受けてきていた。



 小さい頃はなんの疑問も抱くことなく過ごしていたが、小学生になり始めた頃から周りの子たちは遊んでいるのに自分は勉強だけという特殊な環境に気付いたらしい。



 しかし、小学生では反抗はできなかったため、中学生になった想太は反抗期と重なりそれまでの鬱憤を晴らすようにグレてしまった。正直想太を説得するのは大変だったが、今ではこうして医者の道を追っているので一安心。



「一応病院は継ぐつもりだけど、俺は必ずあのバカ親父よりもすごい有名な医者になって必ず見返してやる!」



 これでよかったのかはわからないが、とりあえず本人がやる気を出しているのでよしとしよう。