三十分くらい歩いたのだろうか、気付くとレジャーシートを敷いた場所まで戻ってきていた。
想太と二人で歩くことは滅多にないけれど、電話はよくするので話すネタが尽きることはまずない。三十分ってこんなに短かったかと錯覚してしまいそうになる。
「もー、二人とも遅いよ!」
みきちゃんがこちらに向かって手を振りながら叫んでいるのを見て思わず笑ってしまう。彼女の左手には封が開いているお菓子の袋。見る限り待ちくたびれてしまったみたい。
乾杯はみんなが来てからと思いやめたのだろうけど、我慢できずにお菓子には手を出した模様。
「ごめんごめんって希美! なんでお菓子食べてんの!」
「だって、遅すぎて待ってられなかったんだもん!お腹減っちゃったし」
「だよな、ごめんな・・・とでもいうと思ったか! 先に食うな!」
想太に頭をチョップされても食べ続けるみきちゃんはやはりさすがとしか言いようがない。高校ではキリッとしている姿のみきちゃん。
このだらしない姿を同じ高校の人が見たらどう思うのだろうか。幻滅されてしまうのか?いや、きっと"そんな姿も可愛い"とギャップ萌えされてしまい余計に火がついてしまうはず。
それだけはなんとしてでも阻止したいな。あれ...どうして僕はこんな気持ちを抱いて...
「はーい、みんな座って! 乾杯しよう!」
みきちゃんの一言でみんなが一斉に動き始める。靴を脱いでレジャーシートにゆっくりと腰を下ろす。芝生のふかふかな感触がレジャーシート越しに伝わってきてなんとも気持ちがいい。
この上に寝そべりながら桜を見上げたら、一日中ここでゴロゴロできるのではと思ってしまう。そんな優雅な休日もありだなと思いつつジュースが入ったコップを手にする。
「では、乾杯の挨拶は海くんにお願いしたいと思います!」
「えええ、流れ的にみきちゃんじゃないの?」
「お花見しようって誘ったのは海でしょ?なら、海が挨拶」
確かに誘ったのは僕だけど、提案したのは...そんなこと言っても聞く耳を持っていないとは思うけど。
「えー、みなさん今回はお集まりいただきありがとうございます。えー、たくさん食べて・・・」
「みんな、かんぱーい!」
「え、ちょ・・・」
「かんぱーい!!」
みきちゃんの掛け声に合わせ想太と一花もコップを空へ高く掲げる。慌てて僕もコップをあげたことで中身が少し溢れて制服にかかってしまった。
ほんのりと制服から香るオレンジの匂い。
「結局、みきちゃんがするんじゃん」
「だって海、長いし堅苦しいんだもん。会社の集まりか!ってくらい」
「それが海らしいけどね。ほら、せっかく乾杯したんだから早く飲も!」
コップに口をつけ喉へ流し込んでいく。さっきまで想太と三十分近くずっと話していたこともあり口に流し込んだ瞬間、体に染み渡ってくような感覚に襲われる。運動終わりに体が水分を欲しているような水が美味しい極限状態。
並々注いであったジュースが一瞬にしてコップから一滴残らず消え去ってしまう。隣を見ると想太も一気に飲み干している様子だった。
想太と二人で歩くことは滅多にないけれど、電話はよくするので話すネタが尽きることはまずない。三十分ってこんなに短かったかと錯覚してしまいそうになる。
「もー、二人とも遅いよ!」
みきちゃんがこちらに向かって手を振りながら叫んでいるのを見て思わず笑ってしまう。彼女の左手には封が開いているお菓子の袋。見る限り待ちくたびれてしまったみたい。
乾杯はみんなが来てからと思いやめたのだろうけど、我慢できずにお菓子には手を出した模様。
「ごめんごめんって希美! なんでお菓子食べてんの!」
「だって、遅すぎて待ってられなかったんだもん!お腹減っちゃったし」
「だよな、ごめんな・・・とでもいうと思ったか! 先に食うな!」
想太に頭をチョップされても食べ続けるみきちゃんはやはりさすがとしか言いようがない。高校ではキリッとしている姿のみきちゃん。
このだらしない姿を同じ高校の人が見たらどう思うのだろうか。幻滅されてしまうのか?いや、きっと"そんな姿も可愛い"とギャップ萌えされてしまい余計に火がついてしまうはず。
それだけはなんとしてでも阻止したいな。あれ...どうして僕はこんな気持ちを抱いて...
「はーい、みんな座って! 乾杯しよう!」
みきちゃんの一言でみんなが一斉に動き始める。靴を脱いでレジャーシートにゆっくりと腰を下ろす。芝生のふかふかな感触がレジャーシート越しに伝わってきてなんとも気持ちがいい。
この上に寝そべりながら桜を見上げたら、一日中ここでゴロゴロできるのではと思ってしまう。そんな優雅な休日もありだなと思いつつジュースが入ったコップを手にする。
「では、乾杯の挨拶は海くんにお願いしたいと思います!」
「えええ、流れ的にみきちゃんじゃないの?」
「お花見しようって誘ったのは海でしょ?なら、海が挨拶」
確かに誘ったのは僕だけど、提案したのは...そんなこと言っても聞く耳を持っていないとは思うけど。
「えー、みなさん今回はお集まりいただきありがとうございます。えー、たくさん食べて・・・」
「みんな、かんぱーい!」
「え、ちょ・・・」
「かんぱーい!!」
みきちゃんの掛け声に合わせ想太と一花もコップを空へ高く掲げる。慌てて僕もコップをあげたことで中身が少し溢れて制服にかかってしまった。
ほんのりと制服から香るオレンジの匂い。
「結局、みきちゃんがするんじゃん」
「だって海、長いし堅苦しいんだもん。会社の集まりか!ってくらい」
「それが海らしいけどね。ほら、せっかく乾杯したんだから早く飲も!」
コップに口をつけ喉へ流し込んでいく。さっきまで想太と三十分近くずっと話していたこともあり口に流し込んだ瞬間、体に染み渡ってくような感覚に襲われる。運動終わりに体が水分を欲しているような水が美味しい極限状態。
並々注いであったジュースが一瞬にしてコップから一滴残らず消え去ってしまう。隣を見ると想太も一気に飲み干している様子だった。