「重いよー、海!」



「仕方ないでしょ、こんなに一気に買ったのはみきちゃんなんだから」



「えー、だってたくさんあった方が楽しいじゃん!」



 1.5リットルのジュースが思ったよりも重く、持つのが大変すぎる。店員さんに袋を二つくらいに分けて貰えばよかったと少し後悔。



「おーい、二人とも大丈夫か?」



 振り向くとそこには想太と一花の姿が。なんていいタイミングで来るんだこの二人は。



「あー!二人とも遅いよー。それより重いから助けてー!」



 なぜかお菓子しか持っていないみきちゃんが悲鳴をあげている。"どう考えても悲鳴をあげたいのはジュースを持たされてる僕だろ"と内心思いつつも女の子に持たせるわけにはいかないとカッコつけて言ったのは自分だけれど。



 ジュースは想太の自転車のカゴに乗せてもらうことにした。少し重そうに自転車を押している想太の顔がちょっとだけ面白かった。僕もなかなか性格が悪いのかもしれないな。



「やっと公園が見ててきたよー! お花見! お花見!」



「みきちゃん元気すぎだよ。お花見したことがない人みたい」



「だってこの四人でお花見なんて絶対楽しいに決まってるじゃん!」



 この公園は僕らの住む地域で最も大きい公園なので、所々お花見をしている人たちが見える。桜を囲みお酒を飲んでいるご老人達、ベンチに座り缶ビールを片手に桜を眺めているサラリーマン、大学生らしきカップルもレジャーシートに寝そべりながら優雅に桜を下から堪能している。



 きっと青空を背景に見える桜の木は、何時間でも眺めていられるものなのだろう。



 やはり桜はどの年代にも好かれる季節の花なんだなとしみじみ思う。



 もちろん公園なので、お花見をしている人だけではなく小学生達がサッカーボールを必死に追いかけたり、犬の散歩をしている女性もいる。



 でも共通して強い風が吹くと桜の花びらが宙を舞い、それを目で追うようにみんなの動きが一瞬止まる。それほどまで桜の持つ魅力というのは、人の心を簡単に動かしてしまうものなのだ。