「ほら!海いくよ。二人とも待ってるかもだし!」



「大丈夫だよ、そんなに急がなくても」



「それもそうか!」



 今からお昼に話していた公園でお花見をするために、コンビニに寄ってお菓子や飲み物を買いに行くようだ。リュックに教科書や弁当箱を詰め席を立つ。



「よし、行こう!」



 元気なみきちゃんは気付いていないかもしれないが、先ほどから僕の方を睨みつけているかのような視線がグサグサと刺さってくるように感じられる。



 きっとみんな"何であいつが隣にいるんだよ"と思っているに違いないが、それは僕だって知りたい。



 太陽のようにみんなを照らし続ける彼女と月のようなにひっそりと太陽の影に隠れている僕。全く正反対な性格にも関わらず、彼女が僕の側に居続けてくれるのは僕にも分からない。



 僕の心臓のことを知っているならまだしも、彼女はそのことを知らないはずなのに。



「あ、なんか二人遅れるみたいだから、先に行っててほしいって連絡きた」



「そうなんだ、じゃあ、僕らで先に買い出ししといて準備しとこうか」



「うん、そうだね!」



 教室を出て階段を一段一段並んで降りていく。その間にもみきちゃんは何人かから声をかけられたり、歓声が上がっていた。



 彼女の顔を見てみると、引き攣ったようななんとも言えない表情だった。