「興奮って、もしかして海。希美のことそういう目で・・・」



「な、なわけないだろ!」



「そ、そうだよ。想太変なこと言うのやめてよ」



 みきちゃんを見ると顔を赤くして恥ずかしそうにしているように見える。想太と一緒にまたイジってくると思っていたので、その反応は予想外だった。



 彼女も女の子なので、やはりそういうのは恥ずかしいのだろう。一方で二人 の矛先がみきちゃんの方に向いたことに安堵している僕。



 僕の話など忘れ去ってしまったかのように、みきちゃんに詰め寄っている二人。



「希美よかったな!」



「希美ちゃんよかったね!」



「もう二人ともやめてよ!」



 そんなみきちゃんの表情は照れつつも嬉しさを含んでいるような柔らかな顔だった。僕にはなんのことかさっぱり分からなかったが、どうやら二人はみきちゃんの弱みを知っているらしい。



 正直気になったけれど、ここはあえて聞かないようにした。みきちゃんの照れている顔が僕には直視できないほど可愛らしかったというのは内緒。



 口に出してしまったら、間違いなく馬鹿にされることは目に見えているから。



 もしかして僕はみきちゃんのことが好きなのか...仮に好きだとしてもこの思いを果たして彼女に伝えてもいいものなのだろうか。



 いや、だめだ。やっぱり僕は恋をしてはいけない。