なんとか涙を出し切り、普通に話すことができるまで気持ちが落ち着いた。



「おかえり・・・」



「あぁ、ただいま。綺麗になったね、みきちゃん。笑顔が素敵だよ」



「え、笑顔・・・私笑えてるの・・・」



「うん、素敵な笑顔だよ」



 八年ぶりに取り戻した笑顔。私は海のことを笑顔で迎え入れることができたらしい。ずっと抜け落ちていた私の唯一の表情。



 "おかえり、私の笑顔"と心の中でそっと囁く。



「海が生まれ変わったらね、たくさん話したいことがあったんだ!」



「うん、僕も話したい・・・でも」



 再会できたというのに何処か寂しげな表情のままの彼。何が彼をまだ苦しめているのだろうか。



 もう十分彼は苦しんだというのに、神様はまた彼から何かを奪おうとしているのか...