今日は朝から雨が降っていて気分が憂鬱になってしまう。いつになっても私は雨を好きになることができない。やはり、カラッとした晴天の方が体にも気持ちがいい気がしてしまう。



 好きではないが、嫌いではない。彼が好きな雨を嫌いになれるわけがないから。



「じゃあ、行ってくるね」



「はーい、いつでも家に帰ってらっしゃい!待ってるから。気をつけてね」



 母に見送りをしてもらい、傘を片手に玄関を出て車に乗り込む。車の窓には大量の水滴が付いていて前が全く見えない。車のエンジンをつけると温かい空気が私の元へと流れ込んでくるのを肌で感じる。



 瞬く間に車内はポカポカした空気に包まれてうっとりしてしまう。今から出勤なのに...眠気が襲いかかる。



 ワイパーで窓についている水滴を取り払いながらアクセルを踏む。徐々にスピードを上げていく車。その度に雨が車のフロントガラスを激しく打ち付ける。



 交差点に差し掛かり、赤信号で止まっていると制服を着た高校生たちが、雨の中合羽を着て必死に自転車を漕いでいる。この時間に通学するということは部活の朝練か何かだろう。



 雨に打ちつけられながらも少しずつ前進しようとしている高校生を見ると、若くてまだまだ青いなとおばさん染みたことを考えてしまう。



 高校生は人生の青春と言ってもいいほど、一番キラキラしているように見える。勉強、恋、部活、それらがきっと青春と言われる三代要因なのだろう。私の青春時代は一時の青春を経て暗黒時代へと入ってしまったが。



 依然として私の車の中はクラシックが流れ続けている。雨が車を叩きつける音と音楽がマッチしていて、どこか心地いい音色になっているのを耳にしながら、勤務先の小学校へとアクセルを踏む。