「あのね、海が死んだのは誰のせいでもないと思うよ。海は自分の体の限界を知った上で走ったのだから。私を見殺しにすることだってもちろんできたの。でもね、海はそうしなかった。きっと私が海と同じ立場でも同じ行動をとると思う。だからあまり自分を責めないであげて・・・」



 いつか海パパに言われた言葉を自分にも言い聞かせるように彼に語りかける。



「はい、わかってはいるんです。それでも、この後悔は消えないんです・・・」



 あの葬式の日に見た彼の泣き顔が、今私の目の前に。見た目はあの頃とは大きく変わっていたが、心はあの頃に置いてきたままなんだなと話さなくてもわかるような気がした。



「じゃあさ、その後悔も一緒に背負って生きていこうよ。私もまだまだ後悔だらけだけどさ。そしたら、海に"いつかまた"出会える日が来るよ。だから、その時が来たら目一杯笑顔で迎え入れてあげよ?」



 俯いていた彼の顔が私の目を捉え、目には涙と共に輝きを取り戻したように見える。