お墓に供える花を購入してから店を出る。と言っても毎年購入する花は決まっているのだが。



 手には紫色に咲いている"ハーデンベルギア"という花を抱えながらお墓への道を一人歩く。



 ハーデンベルギアの花言葉は『奇跡的な再会』の意味を持っている。



 私はいつまでも彼が最後に残した"またいつか"が忘れられないのだろう。だからこうして毎年この花を購入してはお墓に供えている。



 正面から吹いてくる風が、私の手に持っているハーデンベルギアを優しく揺らす。その瞬間ほのかに甘い心地のいい匂いに全身が包まれて行く感じがする。



 もうすぐでお墓というところで、一人の少年の姿が目に入る。



 その少年はどことなく海に似ている気もするが、私がじっと見ていたこともあってかその少年も私に気付いたようで軽く会釈をする。



 どうやら彼も誰かのお墓参りに来ていたようだ。手には誰もが知っているあの赤い花を抱えていた。