海が亡くなってからの八年の月日はあっという間だった。



 あれから私は、海が生きていた頃よりも勉強に専念し、高校三年間ずっとトップの成績を収め続け、二年生になってからは生徒会長にもなった。



 これだけ聞くと輝かしい過去のように思えるが、実際はそうではなかった。海の死後から私は変わってしまった。



 私の顔から笑顔という表情が消えてしまったのだ。



 友達もそれなりにできたし、私を尊敬してくれる後輩にも巡り出会えた。でも、いつになっても笑顔は戻らなかった。



 いつも出てくるのは仮面をつけているかのような作り物の笑顔。私はその顔が心底嫌いだった。



 当然人なので、私のことを好きな人もいれば、嫌いな人だっている。



 私のことが嫌いな人が、私につけたあだ名は『氷の女王様』



 高校生の時は嫌で仕方がなかったが、今となってはこんなにしっくりくる言葉は他にないのではないかと思うほど、私の表情は氷のように固く凍ってしまっていた。