海が死んでしまったというのに涙の一滴さえ出てこない。泣きたい...でも罪悪感で泣くことができない。



 私が海を殺してしまったんだ...私がもっと注意深く周りを見て歩いていれば。私なら大丈夫と思っていたのに全然ダメじゃないか。結局私は、海に救われてばかりではないか。



 それなのに私は...彼に何もしてあげることができなかった。彼の優しさに甘えていたんだ。



 椅子に座りながら下を向いて自分の愚かさを悔やむことしかできない私。その隣では海パパに宥められながら、苦しそうに泣く海ママの姿。



 もしかしたら、この二人は私のことを恨んでいるかもしれないと思うと怖くてたまらない。二人は少なからず気付いているはずだ。海が走ってしまった原因は私にあるのだと。



 海ママは相馬先生に海の死因を泣きながらもさっき聞いていた。海の体に大きな怪我は見られなかったとのこと。そうなると答えは一つしかない、走ったことによる心臓への負荷がきっかけで心停止してしまい、そのまま...



 私の慢心的な行動のせいで、大切な人の命を奪ってしまった罪は大きい。



 一生後悔しても償いきれない大罪。



 俯いたまま抜け殻のように座っている私の肩に温かな手がかけられる。