「彼女ができた」

 告げられたその言葉は、16年間生きてきた中で私にとって最も残酷な言葉だった。

 私の築き上げてきた気持ちを簡単に粉砕してしまうくらいに。

 粉々に散りばめられた気持ちは、どこかへ流されていって欲しかった。

 どこでもいいから遥か彼方へと...

 でも、そんな単純なものではなかったんだ。

 あぁ、苦しい。見たくない。見たくない...

 現実逃避を続ける日々。どれくらい目を背けてきたのだろうか。

 気付けば、季節は温かな日差しが差すポカポカさが消え去り、半袖が限界を迎える季節になってしまっていた。

 そして、私の目はとうとう彼の隣にいるはずのない私が見えるようになってしまった。