「あ!二条家のお姉様!ご機嫌よう!」
「ご機嫌よう、二条のお姉様」
「ご機嫌ようで御座います、二条家の姉様」
「ご機嫌よう。三人共、今日も元気ですね」
私に声を掛けたのは、聖ルーア女学院中等部三学年の成績優秀者達。
「はい!」
元気善く返事をするのは、私の家の分家・六条家の一人娘、小櫻弥生。
「弥生、落ち着きなさい。お姉様、お気になさらず」
冷静に弥生を諭すのは六条家の御当主と義兄弟の契をされている(らん)家の長女、藍睡蓮。
「お姉様、御時間とお姉様が宜しければですが、帝都に新しく出来たカフヱに行きませんか?」
私をカフヱに誘うのは、近年勢いを増していく新鋭・日生(ひなせ)家の末っ子・玲香
「申し訳無いのだけれど…弥生、睡蓮、玲香。私、此の後家業に励まなければなりませんの。ごめんなさいね」
「えぇ〜!でも、仕方無いですわ…では、又明日(あす)会いましょう!」
「では、お姉様、又明日(あす)
「又明日(あす)!」
「えぇ、又明日(あす)
ひらひらと三人に手を振り、じいやの待つ車まで歩く。
「お嬢様、お帰りなさいませ」
「ふふ、じいや?未だ着いてないじゃない」
パタン、と車の扉が閉まる。
私の家・二条家に車は向かって走り出した。