夢だった。だからもうこの人を見ることも、そしてあの笑顔を見ることも二度とない。
 あの夕方を告げるために傾き、オレンジに染まって青の背景を一瞬でオレンジに変えてしまう夕陽。それをバックに、床一面に広がる多彩の色をそれぞれ染み込ませた花たちが集う花畑。
 そんな光景が似合うだろう。
 ポツンと一人の彼女の姿があった。
 僕は彼女を無作為に見つめてしまう。
 訳もわからずに見つめてしまう。 僕がいることに気づいた彼女はこちらに顔を向ける。 
 その顔にはやはり僕を惹きつける何かがあった。
 満面の笑顔。
 ただもう僕は……
 
 君の声を聞けない…………。