婚活パーティーは効率が悪いことを悟った私は、マッチングアプリに登録した。
婚活パーティーは、参加回数も増えれば出会う人も増える。単純にそう考えていた私は、同じ人に3回「初めまして」と言われ気づいた。
参加者の「常連化」。また会いましたね、と微笑ましく穏やかにすめばまだいいが、婚活パーティーという手前、心穏やかにそうなるどころか「気まずさ」の方が勝り、気づいた時点で一刻も早く帰りたくなる。
こういう状況で覚えられているのは癪だが、こちらが覚えているのに目の前の相手は全くそんな素振りもなく「初めまして」を毎回通すのはある意味プロだと思う(本気で忘れている場合は除く)。そういえば今書きながら思い出したが、例の婚活パーティーで3回会って3回とも初めましてと言ってきた男は、トークタイム中もずっと質問ばかりしてきた。こちらが答えている最中も次の質問をしてきて、全く人の話を聞かない顔がゴリラみたいな37歳の男だった。シャ○ーニの方が遥かに優良物件だと思った。
しかも、終了の合図がかかっているのに一人だけずっと喋り、司会の人に声かけられるまで止まらず。この時間無駄すぎると思った私は、アプリならこういう心配なく会いたいと思った人とだけ会えるのではと考えた。ちょっと本気出してみるか、と3ヶ月間だけの有料会員登録をした。すると、新規会員のメリット。物珍しさから「いいね!」の連続。
一人ずつプロフを確認し、良さそうな人にいいね返しをしてマッチング成立。となるつもりが、間違えて別の人にタップしてしまうことも何度かあった。その中でも特にヤバイのをいくつか挙げてみる。
★ゼ○シィ縁結び★
①34歳(職業忘れた)
→間違えてタップしてしまい、プロフをしっかり読む前にマッチングしてしまった第1号。マッチング成立後、秒でメッセージが来た。
「初めまして。名古屋にお勤めなんですね。よかったらLINE教えてください。アプリでやるの面倒なんで。」
いきなりLINE聞かれた。
しかも、私は名古屋に勤めていない。
プロフ読むのも面倒だから適当にいいねしまくって数撃ちゃ当たる戦法でお手軽な女を探していると見た。
「私は名古屋に勤めていません。誰かと間違えてませんか?プロフもろくに読まずに連絡先だけ聞いてくるなんて非常識です。気分悪いので二度とメッセージ送ってこないでください」
怒りに任せ私も秒で返したら、本当に二度とメッセージが来なくなった。かと思ったら、ほどなくしてすぐ退会していた。まあ、私も相手のプロフ読みしていないが。それに読もうとしたら、もう退会していて読めなかった。変わり身の速さだけはすげえなと思った(ブロックされただけかもしれないが)。
②77歳(無職)
→興味本位で最高齢の利用者は何歳かと検索したらこのじいさんが出てきた。プロフの写真は、病室みたいなところで誰かに撮ってもらったであろう横顔が写っていた。
自己紹介欄には「昼間ならいつでも会える。車ないから迎えに来てください」と一言だけ書いてあった。別のお迎えのほうが先に来そうだなと思ったが、この年齢で婚活アプリを使いこなしているのに驚いた。
③31歳(設計)
→間違えてタップしてしまった第2号。彼からのメッセージは、「いいねありがとうございます。自分は子どもいらないので作る気ありませんがいいですか?」だった。よくないです、ごめんなさい。スルーさせていただいた。プログを見て察してくれ。スマン、子無し希望の青年。
④29歳(休職中/精神疾患、発達障害あり)
→一方的にメッセージが届いた。プロフを見ると、大学院卒で英語、スペイン語、韓国語など5カ国語が話せると書いてあった。その他、発達障害(軽い自閉傾向あり、ADHD、アスペルガー症候群)、統合失調症もあり、仕事も続かず辞めてしまった。社会に復帰したいが、精神的に不安定になりやすく、そばで支えてくれる人に出会いたいから登録したと延々と自分の病について書かれていた。私は大学で心理学を専攻し、臨床心理学の分野を専攻していたため、「プロフを見て僕のことをわかってくれる人だと思った」「お願いです。僕を苦しみから救ってください」「このまま誰からも愛されない人生なんて辛すぎます」「死んだほうがいいんでしょうか?」「僕も人並みに恋愛して結婚して、普通に生きたいんです」とまるで人生相談のようなメッセージが。「私ではあなたを救うことはできないので、専門機関に相談したほうがいいですよ」と送りブロックした。
⑤42歳(小学校教員)
→マッチング成立した途端、「よろしければ直接やり取りがしたいので連絡先を教えてください。私のアドレスは〇〇です」とメールアドレスが記載されて送られてきた。少し抵抗があったが、この人とは実際に会うところまで行った。実際に会った時、「〇〇(私の本名)というんですか?」と聞かれ、ドキッとした。名前を教えた記憶はない。当時、Gメールの名前表記が本名になっていたことに気づかず、慌てて変えた記憶が蘇った。電車でわざわざ私の住む家の近く(最寄りではない)まで来てくれたが、開口一番「結婚についてですが、いつまでにしたいとかありますか?」「子どもは好きですか?」「両親と同居は可能ですか? 別居希望ですか?」などガンガン質問された。悪い人ではなさそうだが、焦りが垣間見えて面倒になり、「結婚は今すぐしたいというわけではないです」「できれば地元で生活したいです」と譲れないところはより強調してアピールし、相手の希望条件から外れるような答えを心がけた。この人とはこれっきりになったが、貴重な時間を奪って申し訳なかったな、と初めて罪悪感を覚えた相手だった。
⑥29歳(IT関係)
→アプリを始めて一番最初に会ったメンズ。年下でも初めからタメ口だったのは気になったが、気さくでフレンドリーな人なのかなと思い、とりあえず会うことになった。比較的家が近く、実はジモティーだったという話で盛り上がり、会う前はちょっと楽しみにしていた。が、実際に会ってみて驚愕。写真と全然違う。「黒髪の黒縁メガネにビール片手に料理を頬張る写真」をプロフにのせていたが、実際はイガグリ坊主頭の無精髭を生やしたちょいデブ。本人かどうかの確認をしようか迷ったくらい違和感がすごかった。イタリアンの店を予約してくれていたのはまだ良かったが、話をしていく途中でだんだん人が変わったように「ああ」「ふーん」「やべえ」「とりあえず帰る? あ、4000円でいいわ、あとは俺出す」と面倒くさそうな感じに。モヤッとした気持ちを払拭できないまま、このメンズとは連絡先交換することもなく切れた。今思えば、4000円ってほぼ払わされた可能性が。伝票は見せられなかったし、会計の時そばにいないほうがいいと思ってお金だけ渡して支払い任せたからか。高い勉強代になった。
アプリの月額料金より高いお金請求されたら危ないと思った方がいい。