「わたくしも、ご一緒してもいいかしら?」


そんな声が聞こえて、ギョッとして振り返る和葉。

見ると、桃色の寝間着姿の乙葉がやってきた。


「わあ〜!ここからだと、お月さまがよく見えるわ〜」


そう言って、和葉と玻玖の間に割り込む乙葉。

これには、さすがの玻玖も苦笑い。


「なんだ、起きていたのか。いつも眠るのが早いのではないのか」

「今日は東雲様とあまりお話できていなかったので、東雲様のことを想うとなかなか寝つけなかったのです」


まるで小動物のようなかわいらしい顔をして、玻玖の顔をのぞき込む乙葉。


この場の雰囲気に耐えきれなくなったのは、――和葉のほうだった。


立ち上がった和葉をすぐさま見上げる玻玖。


「どこへ行く、和葉」

「…温かいお茶を淹れてきます。少しここでお待ちください」