音もたてずに病室の扉を開けて滑り込んだ。廊下よりも部屋の中は明るい。月明かりがぼう、と呼吸するだけの有機物になったサツキを浮かび上がらせる。 ああ、やっぱり君は、綺麗で美しいね。 眠っている今も、生きたいと泣いたあの日も、再び出逢った時も、君を殺すと約束したあの日も。初めて逢った時から、ずっと。 「——……」 ねぇ、サツキ。 いま、その約束を、果たしに来たよ。