俺たちはやっぱり同じだった。
死にたい訳じゃない。だけど、死ぬ以外にこの世界から逃げる方法を、知らない。
自嘲気味に笑うサツキを見ていたら、俺の心の奥底でじりじりと澱んでいた気持ちが、喉から飛び出した。
「一緒に死ぬ?」
ぼろ、と唇からあふれ出たその言葉にハッとした。だけど、口にしてみたらすとんと胸に落ちていく。母親がいなくなってからずっと胸に巣食っていた黒く汚い感情が、初めて少しだけ薄れた。
サツキは驚いたように俺の方を見て小さく笑って、唇を何度も開けては閉じて、けれど結局何も言わなかった。だから、俺もただ黙ってサツキの瞳を見つめていた。すると、迷うように開かれた唇から小さな呟きが零れた。
「リキが死ぬのは嫌だな」
「……そっくりそのまま返す」
俺たちに死ぬ勇気なんてない。でもその事実がどこか酷く悔しくて、冗談っぽく誤魔化した。
「ねぇリキ、ひとつお願いきいて」
「何」
サツキは悪戯っ子みたいな瞳に俺を映して言葉を紡ぐ。
「ぼくのこと、殺してくれない?」
息が、止まった。