十月十五日日曜日。

今日は部活が無かった。

学校も無かった。

予定も無かった。

だから、どうせ死ぬなら好きなことをしようと思った。

でも、特にしたいことも見つからなかったから、一つ先の駅の近くにあるカフェに向かった。

いつものキャラメルラテを頼んで。

いつもの右奥の席に腰を下ろして。

紙とペンを机の上に出して。

私は遺書を書くことにした。

何のためになのか誰に向かってなのかは自分でも分からなかった。

『私は今までたくさん辛い思いをしてきた。
陰口を言われて悪口を言われて
居場所がなくて
それがすごく嫌で
でも、そんなこと思って我慢もせずに逃げ続ける自分もすごく嫌で、、、、』

思っていることを書いた。

誰かに伝わるだろうか。

私の言いたいことが。

私の伝えたいことが。

気がつくと外は暗くなっていた。

私は家に帰ることにした。

「ただいま。」

おかえりの声が聞こえる訳がないのも知りながら私はそう呟いた。

リビングに私の居場所は無い。

私は母親にも父親にも嫌われている。

弟ばかり可愛がられて。

私なんてどうでもいいとよく言われる。

そんなこと痛いほどよく分かっていたので、私はリビングには寄らず、すぐに自分の部屋に入った。

少し時間が経って。

真夜中、静かにお風呂に入って。

布団に入って。

寝ようとした。

寝られなかった。

ボーッとしていると今までの記憶が蘇ってくる。

それは思い出したくもない記憶だった。

悪口言われたこと。

陰口言われたこと。

クラス全員から無視されたこと。

親に殴られたこと。

涙が溢れてきた。

今すぐにでも死にたかった。

でも空くんとの約束を果たすにはまだ死ねなかった。

明日は文化祭。

私が生きる最後の日だ。

その日が刻一刻と近づいてくる。