__数時間後。
気付けば空は段々と茜色に染まり始め、時刻は夕暮れ時を指そうとしている。
私は日中に比べて少しひんやりとした風にあたりながら、広場のベンチに座って一人大きな溜息を吐いた。
あれから、行く宛もなく制服姿のまま、その辺で適当に時間を潰していて今に至る。
大人しく家に帰ればいいものの、何故かそんな気にもなれず、全てを投げ出したはずなのに、私はまだこの場に留まっていた。
それから時間が経過する毎に落ち着きを取り戻していく思考回路。
やっぱり、冷静になって考えると、このまま相馬君に会わず明日を迎えるのは良くないと思う。
もうストラップなんて探すつもりはないけど、せめて話だけでもしておかないと。
もしかしたら、明日になったら目的を果たせず相馬君は消えてしまうかもしれない。
それで意識が戻るなら、願ったり叶ったりなんだけど……。
そうなっても、このままじゃ私は相馬君に合わせる顔がない。
これ以上巻き込まれたくはないと思ったけど、やっぱり相馬君の事が引っ掛かって、私はそんな自分に少し呆れながら二度目の溜息を吐く。
とりあえず、そろそろ相馬君が現れる時間帯だし、学校へ行こう。
それで彼に伝えなきゃ。
私は決心したように拳を小さく握りしめると、その場から立ち上がり、重い足取りで来た道を引き返したのだった。