もう嫌だ。

何もかも全部。

相馬君の為とはいえ、何で私はこんな人に渡すものを必死になって探してるんだろう。

あんなに優しくて温かい相馬君を、周りの目を気にするあまり避けていて。

それなのに、相馬君はそれでも自分の体や家族を顧みず、誰からも気付かれずにずっとあの学校で囚われ続けているというのに。

あまつさえ、私が相馬君に近付くのが面白くないなんて身勝手極まりない。


相馬君が何であんなにも切羽詰まって文化祭前に見つけ出したいのかは分からない。

でも、そんな事はもうどうでもいい。

その先に何があるのかなんて、もう考えたくもない。


瀬川さんのことも、そんな人に思いを寄せる相馬君のことも。

全部、全部、全部。


「……っ!!」

次から次へと溢れてくる黒い感情に耐えきれず、私は瀬川さんを放ってその場から駆け出す。

もう瀬川さんの顔も見たくなくて。

これ以上、押し潰されたくなくて。

もう開放されたくて。

ただひたすらに学校とは違う方向へと走ったのだった。