「酷いっ!相馬君を何だと思ってるの!?相馬君は今だって変わらず瀬川さんのことを……っ!」

怒りのあまり思わず相馬君の気持ちを言いそうになってしまうのを、私は何とかすんでのところで堪える。

けど、彼のそんな想いが余りにも報われなさ過ぎて、やりきれない気持ちに自然と涙が滲み出てきてしまった。

そんな私の反応に、瀬川さんは一瞬困惑した目を向けるも、直ぐに眉間に皺を寄せて、私に負けないくらいの睨みをきかせる。

「だって、しょうがないじゃん!そこまで徹底しないと圭太君の彼女にはなれなかったんだからっ!!」

そして、負けないくらいの気迫でいい伏せられ、今度は私がたじろいでしまった。

「圭太君は学校の人気者だし、常に女子から狙われてるし、なりふりなんて構っていられなかったの!……けど、ようやく彼女になれたのに、圭太君あまり私の事見てくれなくて……」

すると、徐々に勢いが弱まっていき、最後には声を振るわせながら今にも泣きそうな顔を見せてくる瀬川さん。

私はそんな彼女に、またもや言葉を失ってしまう。

確かに、普段見てても一杉君より瀬川さんの方が夢中になっていると感じていた。

それはただ瀬川さんの愛の方が重いのだろうとぼんやり考えていたけど、そんな事情があったなんて……。

「だから、圭太君と繋がれる物として、私からハピネスベアーをプレゼントしたの。……それなのに最近向こうからのスキンシップも減ってきて……」

そこまで言うと、瀬川さんは言葉を詰まらせる。

私も先程まで込み上がってきた怒りはいつの間にか落ち着いていて、今は彼女になんて声を掛ければいいのか分からず、ただひたすら瀬川さんを見つめた。