「……っあ、う、うん。そっか、そうだよね。ご、ごめん。変なこと言って。私まだちょっと意識が朦朧としてるかも。もう少し横になってるね」

とりあえず、強引過ぎるかもしれないけど、私はかなり挙動不審になりながら何とかこの場をやり過ごす為に、無理矢理話を完結させる。

「ねえ、本当に大丈夫?何なら先生呼んでこようか?」

そんな私を心底心配な目で見てくる夏帆に対し、申し訳ないと思いながらも、私は首を横に振り、少し急かすように保健室から出て行ってもらった。





「…………ねっ?だから言ったでしょ」


保健室の扉が閉まった途端、すぐ脇から聞こえてきた男子生徒の勝ち誇ったような声。

「“言ったでしょ”じゃないわよっ!あなた一体何なの!?もしかして、本物の幽霊ってこと!?」

その言い方が何だか癪に触り、私は歯を剥き出しにしながら男子生徒にくってかかった。


……っというか、自分も何なんだろう。

今私の目の前に立っている人は明らかに私達とは違う存在なのに、不思議と恐怖感が全然湧いてこない。
むしろ、その辺の生徒達と何ら違和感はない。

幽霊ってこんなもんなの?
それとも、実は私って自分が思っている以上に肝が座っているわけ?

なんて、様々な思惑が混在し、もはや私の頭の中は只今大混乱中だ。