「こら、変な事聞くんじゃないの!お姉ちゃん困ってるでしょ!……まったく。ごめんなさいね、この二人妙にマセてて。何処でそんなの覚えてくるのやら」

「あはは」

窮地に追いやられる中、何とかそこから救ってくれた相馬君のお母さんに感謝しながらも、私はただ苦笑いしか出てこない。

どっちがどっちなのかは未だ判別が出来ないけど、このOLみたいな小学生二人は一体何なんだろう。

顔はあまり相馬君に似ていなくて、二人ともくりっとした大きな可愛いパッチリ二重でまだあどけなさが残っているのに、会話の内容が大人顔負けだ。

そんな二人の面倒を見ている相馬君の気苦労が、何だか容易に想像出来る。


そう思いながら歩を進めていくと、私達は通路奥にある“ICU”と書かれた自動扉の前に辿り着いた。

よくテレビドラマでは見たりするけど、実際に足を踏み入れるのは始めてで、何だか少し緊張してくる。
しかも、この先に生身の相馬君が眠っていると思うと、不謹慎だとは思いつつも胸の高鳴りは益々激しくなってきた。

入り口前には手洗い用の水場と除菌スプレーが設置されていて、よく手洗いうがいをした後マスクをして、恐る恐る中へと突き進んだ。