意外だった。
まさか、瀬川さんもお見舞いに来ていただなんて。

幼馴染であるなら普通の事なのかもしれないけど、彼女のあの口振りからだと想像も付かなかった。

けど、それは私の見当違いだと知り、少し彼女に対しての見方が変わり始める。
同時に、以前体育の時に彼女に向けた台詞が、いかに無神経であったという事に気付かされた。

瀬川さんは、ちゃんと相馬君の事を心配していた。
しかも、事故の当日に駆けつけたくらいだから、心の底から彼の身を案じているのだろう。

それなのに、私は彼女に対してつっけんどんな態度を取ってしまった。
しかも、相馬君にも興味がないなんて、彼に誤解をさせて不用意に傷付けさせてしまう始末。

知らなかったとは言え、あまりにも愚かだった自分の行動に、今になって大きな後悔の波が押し寄せてくる。


早く相馬君にこの事実を伝えたい。
私が言った事は全部間違いだったと、誤解を解いてあげたい。

そうすれば、相馬君もきっと喜んでくれる筈だから……。


すると、逸る気持ちの裏側で感じた、ちくりと突き刺さるような痛み。
その痛みに驚いて、私は思わず自分の胸を抑えてしまう。

何だろう、この感情は。
喜ばしい話なのに、何だか胸が苦いような……。

気のせいだと思いたいのに、それは波紋の如く徐々に胸中に広がっていく。

それが一体何のか。
不可解に反応する自分の気持ちに戸惑い始めた私は、一人で狼狽えていた。