「いやあ、助けてもらった事に恩を感じて、そのまま好きになちゃって告白したとか?」

何を言い出すかと思いきや、物凄い斜め方向に走った夏帆の話に私は一瞬言葉を失う。

「あんたの思考回路一体どうなってんのっ!?」

そして、沸き起こる怒りと呆れた気持ちをそのまま夏帆に勢いよくぶつけてしまった。

「嫌だなあ、冗談だって。そんなムキにならなくてもいいじゃん。……あ、もしかして実は満更でもなかったりする?」

しかも、それを逆撫でするように、にんまりとした表情で追い討ちをかけてくるもんだから、私の怒りゲージは益々上昇し始める。

「あのねえ、ふざけた事言うのもいい加減にしてくれない!?何で私が一杉君のことを……」


「俺が何?」

すると、突然背後から響いた聞き覚えのある声に、私達は大きく肩を震わすと、その場で固まってしまった。