すると、相馬君の表情が少しだけ影掛かると、暫しの間口を噤んだ。

それから沈黙が流れ、静寂な時間が少しの間続く。

「……そうだね」

重たい空気に段々と耐えられなくなり始めた頃、呟くような相馬君の言葉でそれは破られ、私は背筋がピンと伸びる。

「確かに、側から見れば諦めの悪い人間だと思うよ。自分でもそう思うし、全部分かっている。……けど、それでも僕にとっては大切な幼馴染だから」

そこまで言うと、相馬君は私に優しく微笑みかけた。

それが彼の答えなのだろうか。
だとしたら、釈然としないし、なんとも消化不良だ。

全部分かっているのなら、尚更そこまでこだわっている相馬君の想いが不可解で仕方がない。

人の恋路なんて全く興味ないけど、自らを傷付けるような恋をしている相馬君が気が気ではなくなっていく。

けど、これ以上彼に問いただしても無駄なような気がして、私は納得のいかない思いで唇を噛み締めた。