「ご、ごめん!無神経な事言って」

慌てて頭を下げるも、彼を傷付けてしまった事には変わりなく、罪悪感に苛まれる。

「いいよ、気にしないで。それが事実だし。むしろ、君にそこまで気を遣わせてごめんね」

けど、相馬君は悲しい色一つ見せずに、穏やかな表情のまま逆にこちらを気遣ってくれることが、余計に辛い。

何だかんだ言っても、相馬君は良い人だ。

あまり感情を表に出すこともなく、落ち着いてて穏やかで、優しさもあって。
私欲を剥き出しにしてくる瀬川さんとは、全くの真逆なタイプだと思う。

だから、勿体ない気がする。
本当に余計なお世話だけど、相馬君にはもっと見合った人が他にもいるはずだ。
事故に遭ってまで、彼女の事を追い掛ける彼の恋心が何だか気の毒に思えてきた。

「……ねえ、相馬君は辛くないの?もう相手は好きな人がいて、しかも両想いで。普通なら、とっくに諦める事じゃない?」

これでもかって程心の中で瀬川さんをバッシングした後、私はいたたまれなくなり、つい再び無神経な質問をしてしまった。

でも、そこはどうしても彼に伝えたくて、私はいつになく真剣な面持ちで彼に迫る。