……なんだろう。嫌な予感がする。

直感的にそう感じた私。

何とも捻くれた考え方かもしれないけど、どうもにもその笑顔を素直に受け止める事が出来ず、気持ちがざわめき始める。

そんな反応に困っていると、何やらこちらに向かってくる瀬川さん。

それに対し内心焦り出すも、私は何とかそれを表に出さないよう平静を装った。

「朝倉さん、ちょっといいかな?」

あろうことか、笑顔を崩さず手招きしてくる瀬川さんに、私の心拍数は徐々に速さを増していく。

まさか、さっきの所を見られたのでは……。

やましい事なんて何一つしていないけど、その笑顔の裏には何かがありそうで、落ち着かない気持ちに生唾を飲み込む。

とりあえず、言われるがまま瀬川さんの元へと近寄ると、突然右腕をがっしりと捉えられ、不意を突かれた私は大きく肩が跳ね上がった。

「ねえ、朝倉さんもハピネスベアーが好きなの?」

もはや確信的ともいえる瀬川さんの問いかけに、冷や汗がたらりと流れる。

「だ、誰から聞いたの?」

分かってはいるものの、わざとらしく尋ねてみると、相変わらず張り付いたような笑みを振りまきながら、瀬川さんは私から視線を外して小さく唸った。

「ごめんね。圭太君に話かけようと思ったら、二人が楽しそうに会話しているところを聞いちゃったんだ」

そして、何処か棘のある言い方に、冷や汗が止まらない。