同じクラスの一杉圭太君。
学年一のイケメン男子と呼ばれ、女子の間では高い人気を誇り、陰ではファンクラブまで結成されているんだとか。

ぱっちりとした切れ長の目と、綺麗に整えられた少し釣り気味のシャープな眉。それに目眉間隔が近いからか、とてもキリッとした凛々しい顔立ちだ。

加えてバスケ部とあり身長も高くて、足もモデルみたいに長く、街中を歩けば芸能界にプロデュースされるのではないかという程。私もミーハーではないけど素直に彼は格好いいと思える。

しかも、一杉君は某政治家の息子であり、成績もトップクラスで、部活でもレギュラーメンバーに入っている程の実力者。
性格は顔とは反対にとても穏やかで、誰にでも優しく接する紳士的な振る舞いに、夏帆曰く一瞬で乙女心を鷲掴みにされるという。

そんな家柄、身体能力、人間性と全てにおいてパーフェクトな彼は、校内でも一目置かれている存在であり、本当に天は二物を与えずなんてよく言ったものだと、つくづく私は思う。



「ここ結構切れてたけど平気?」

すると、不意に一杉君はガーゼが充てがわれたこめかみ部分をそっと優しく指で触れてきて、私はびくりと肩を震わせた。

「……っあ。う、うん」

只でさえそういう事に免疫がない私は一気に顔が火照り出し、恥ずかしさのあまり返す言葉が上手く見つからず、つい視線を逸らしてしまった。