「っあ、う、うん。気にしないで」

突然目の前に相馬君の顔が迫り、はたと我に返った私は、接近されたことにより赤くなり始める頬を隠すように慌てて顔を逸らす。

「そ、それでさっきの話だけど、もしそれまでにあなたの意識が戻らなかったら……」

「申し訳ないけど、君にお願いするようかな」

そして、本質に迫ろうと口を開いた途端、相馬君は最後まで聞かずにとんでもない事を平然と言ってのけてきた。


「はあ!?何で私がそこまで面倒見なきゃいけないの!?」

思わず、遠慮なしに私は思ったことをそのまま口にしてしまった。

「しょうがないじゃん。僕こんなだし。彼女に渡せなきゃ君にここまでお願いする意味全くないでしょ」

けど、相馬君は全く動じる事なく、至極当然のことをしれっとした表情で言い張ってきて、私の中での不平不満が益々募っていく。

「だって可笑しいでしょ!見ず知らずの人間に人から預かった誕生日プレゼント貰っても全然嬉しくないよ!そういうのはちゃんと自分で渡してよねっ!」

しかも、自分が好きな相手だとしたら、尚更人にお願いするなんて変だ。
というか、自分自身も嫌だと思う。
それなのに、何でこの人は平気な顔でそんな事を人に頼めるのだろうか。

私は相馬君の考えが全く理解出来ず、声を張り上げて猛抗議する。