「あはは、本当だよね。世間ってつくづく単純だと思うよ」

すると、相馬君は私の返答に対し、肩を震わせて小さく笑った。
そんな意外な反応に、唖然としてしまった私。

そこ、笑わせるつもりで言ったんじゃないんですけど。

……と、内心ツッコミながら、相馬君をジト目で見る。

「じゃあ、何でそれがそんなに必要なわけ？」

ハピネスベアーの信者かと思いきや、様子を見る限りそうでもない相馬君の意図が益々分からない私は、更に眉間にシワを寄せながら詰め寄る。

「うん。実は、それをある人に渡す予定だったんだ。けど、いつの間にか無くしちゃったみたいで。だから、早く見つけないと。文化祭前に渡さなきゃ意味がないから……」

そう言うと、急に相馬君の表情が陰り、視線を私から外した。

「何それ？誰かの誕生日プレゼントなの？……もしかして彼女とか？」

神妙な面持ちをする彼の様子から何となく推測出来た私は、顔を歪ませて切り込んだ質問をぶつける。

「まあ、そんな所かな？でも、生憎彼女じゃなくて、ただの片思いの人」

けど、相馬君はそれをものともしない態度で、今度はやんわりと余裕の笑みを見せてきた。