……そう、私達はあれから和解したのだ。
相馬君と付き合い始めてからは、以前のような刺々しさがなくなり、気付けばこうして普通に笑顔で話すような仲へと変化していた。
そもそも、彼女に嫌われている原因は一杉君が私を気にしていたからという、とばっちりにも程がある理不尽な理由からであって、そんな彼が転校してしまえば、怒りの矛先はもう何処にもない。
私は一杉君なんてそもそも始めから興味ないし、思い出したくもない人物なので、それが瀬川さんにも伝わったのか、いつしか私への当たりは徐々に緩和されていったのだ。
そして、今では相馬君と付き合っていることを純粋に祝福してくれている。
相馬君が言うように、瀬川さんは彼の事を異性の目で見ることは一切なかった。
はっきりと彼女にもそう言われ、お互いが兄妹みたいな関係だと断言された時、私は安堵と同時に今までの自分の涙は一体なんだったのかと。虚しさが込み上がってきて、なんとも複雑な心境になった。
そして、彼女の相馬君に対する今までの扱いは許せる訳ではないけど、彼女の一杉君に対する想いと、彼女もある意味彼の被害者だと思うと、もうあの時程の怒りはなくなっていた。
そんなこんなで、お互いの蟠りが薄れ、しかも一度思いっきり衝突したからなのか、下手に遠慮する事もなく今では気楽に話せる仲だ。
それに、瀬川さんも話してみると結構気さくで良い所もあって、あの頃の自分にしてみれば信じられないくらい彼女との関係は良好になっていったのだった。